人生が過集中

今回は、発達障害当事者のサブカルライターのカネミノブさんより、ご寄稿頂きました。

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人生が過集中

月に数回ほど通っている発達障害カフェバーがある。

そこでよく「過集中」のことが話題になる。

過集中は体力ゲージのほとんどを使ってしまう必殺技!!

人間、長時間の集中状態に入り込んでしまうと、体力・精神力共に相当な疲弊が生じる。

1日の半分でも過集中に費やそうものなら、エネルギーが空っぽになり、その日は他になんの作業もできない。

複数の業務を同時にこなさないといけないような職種の人にとっては、過集中の沼に引きずり込まれないよう、常に自分を制御する必要がある。それはそれで精神を消耗しそうだ。

一方で、「この仕事を優先的に終わらせないと次の工程に着手できない」という場合もある。

そんな時、過集中の特性をうまく利用しクリティカルパスとなっている作業にピンポイントで気持ちのフォーカスを合わせて一気に終わらせれば、全体の進捗速度を維持できる。

たとえるなら過集中は「体力ゲージのほとんどを消費する必殺技」のようなもので、

ここぞという時に行使すれば大きな成功を得られるが、使いどころのタイミングを見極めるのが非常に難しい。

全員過集中やろ!?

発達障害カフェに集う人達は、それぞれ職業も立場も異なる。過集中しやすい特性がどちらに転ぶかは、おかれている環境によって異なるだろう。

「過集中から抜け出す方法が知りたい」という悩みを抱えている人もいれば、

その逆に「いいなー、過集中になりたいなー」と羨ましがる人もいる。

同じ発達障害でも多動が強くでているタイプのADHDにとっては、長時間じっと集中できるのに「集中したくない」というのは贅沢な悩みだと感じてしまう。

そのうち、「過集中は善か悪か」のような方向に議論が発展し、気がつけば何時間も経っていたりするのだが、

そのやり取りを少し客観的な距離感で眺めている僕からすると、「同じ話題をいつまでも引っ張り続けてる時点で、全員過集中なのでは?」と思ってしまうのだ(笑)。

発達障害カフェバーは、一般の世間で公にするのをためらうようなことでも、気兼ねなくアピールできる貴重な場所である。

そこでお互いの特性やハンデをカミングアウトして生きづらさを共有し、自分自身の現状なり将来と向き合うのは素晴らしいことに違いない。

だけど、せっかく「カフェ」と名のついた空間で、お金を払って過ごすのだから、もう少し気分転換というか、趣味とか、流行ってるテレビの話をしてもいいんじゃないか。

発達障害者はみんな「人生が過集中」

思うに、僕も含めてだが、発達障害の人の「マルチタスクができない」という苦手は、仕事においてだけでなく、人生そのものにも影響を及ぼしているのかもしれない。

発達障害でも仕事がバリバリできる人もたくさんいる。しかし、あくまでも個人的な印象なのだが、そういう人は「仕事が趣味」というくらい、仕事に全てを捧げているような人が多い。

その反面、アニメとかゲームとか、ちょっと危ないところだとお酒とかギャンブルとか、特定の趣味に没頭している発達障害の人は、 全財産を投入するほどのめり込んでしまうし、仕事も全く手につかなくなって、破滅への電車道を突き進んでしまう。

働くべき時はしっかり働き、適度に力を抜くところは抜いて、それなりに趣味を楽しむ。

そんなオンとオフの切り替えができないのが発達障害の分かりやすい弱点だ。

365日24時間仕事モードの人にしろ、寝る間も惜しんでゲーム機に噛り付いている人にしろ、朝から晩まで常に、「自分はこれに集中しないといけない」と切迫した気持ちに追われながら生きている状態。

僕達、発達障害はみんな「人生が過集中」なんじゃないかという仮説、あながち的外れではないはずだ。

だから、「過集中の特性が欲しい!」「過集中になってガンガン仕事をこなしたい!」と憧れている人だって、実はもう過集中という必殺技を手に入れているのだ。

むしろ、無意識の間に、自分の人生を貫いているなんらかの理念とか、本当に大好きなこととか、そういう別のことで脳のキャパシティーが満杯になってるからこそ、

目の前の仕事に集中できない、というエクスキューズが成り立つのではなかろうか。

発達障害カフェバーでくつろぎながら

過集中の自分にさらに「集中」という義務を課してしまって頭が破裂しそうな時、発達障害カフェでゆっくりコーヒーでも飲みながら、本棚にある恐竜図鑑とか、なんの興味もないような本を手にとって、上の空でもいいから読み進めてみよう。

普段の生活では得ることのなかった知識が心地よい刺激となって、自分の毎日を縛っていた「過集中」がふとリセットされる瞬間が訪れるかもしれない。

者の紹介:カネミノブ(サブカルライター)

フリーランスのライター及び脚本家として活動中。

飲食業界・インディーズアーティスト・サブカルチャー情報を発信するフリーペーパー「乾杯ヒロイン」の発行を手掛ける。

得意な執筆ジャンルは、サブカルチャー全般、スポーツ、頭脳競技、大衆娯楽、民俗・風俗史 、地下アイドル・メイドカフェ・コスプレ・酒場・麻雀(Mリーグ)・若手お笑い・競馬・将棋 など多数。 ライターでの仕事募集中です。

カネミノブさんへのお仕事依頼はこちらから行えます。 https://crowdworks.jp/public/employees/2641062

筆者がよく通っている、大阪・東心斎橋の発達障害カフェの公式サイトはこちら

ちなみにブログ主の関西の精神保健福祉士の相談支援サービスは以下より受付しております。


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