【社会では埋もれていた才能】療養期間が育てた歴史論文

今回は「鳥居の上の鳥」さんにご寄稿頂きました。

ADHD、ASD 特性を持たれるソーシャルワーカーさんでありながら「鎌倉時代に形成された神道について」 の研究・論文執筆もされておられる歴史学者さんです。

関西の精神保健福祉士
関西の精神保健福祉士

私は歴史が大好きなんです( *´艸`)歴史学者という経歴に興味津々で、マニアックな執筆依頼をして困らせているところです。

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特性が活かせなかった病院時代

鳥居の上の鳥
鳥居の上の鳥

私はある慢性期病院にソーシャルワーカーとして入職しました。

もともと自分の処理能力が人より劣っていることはなんとなくではありましたが理解していましたので、急性期の病院ではなく慢性期の病院を職場として選択しました。

しかし発達障害が仕事に支障をきたしました。

まずADHD の影響で、とにかく目の前に来たものにすぐに手を出してしまうため、それまでに処理していた書類に処理をそのままにしておくということが常態化しました。

またASDもあるので変なこだわり、例えば提出期限が迫っているのに文体に気を張りすぎて間に合わなかった、ということも多発しました。

・身なりに気を使えないこと、

・指示されていることを理解できていないのに行動に移してしまうこと、

・逆に行動に移せないことで上司より叱責を受ける機会が多くなりました。

結果的に社会不安障害を発症し、支持を仰がなければならない上司に対し、報連相を全く行えなくなりました。

上司のみならず先輩との関係もますます悪化していき、仕事を取り上げられていきました。

それで不眠症を患い、心療内科を受診、そこで初めて発達障害の疑いを指摘されました。

まだ通院は続けていましたがより業務内容は悪化していき、自分ができる仕事はほとんどなくなっていました。

最終的にうつ病を患い退職しました。

休業期間に思い付きでノートとペンを持って歩いてみた

さて退職後、ひとまずうつ病の治療を始めました。

主治医より「まずはゆっくりと休養を取ること」という支持を受けた私は、しばらくぼんやりと過ごしていました。

その時に自分の特性について考えてみることにしました。

私の場合、集中力がないことと自分のこだわりに執着してしまうという点が社会人として生活していく上で問題となるということがわかりました。

そこで私は、これは本当にただの思いつきだったのですが、ズボンのポケットに入るサイズのリングノートとそれに引っ掛けられるシャープペンシルを購入しました。

ADHDとASDの特徴なのか私は一度動き出すとエンジンが切れるまで動き続けて、エンジンが切れたらしばらくは切れたままになります。

主治医より散歩など外出してリフレッシュすることも大事だと聞いていた私は、天気の良い日はできるだけ散歩をするようにしました。

またそのときはかならずリングノートとシャープペンシルを携帯するようにしました。

療養期間が育てた歴史論文

前述のとおりエンジンが切れるまで歩き続けるので知らず知らずのうちに相当な距離を歩いていて筋肉痛に悩まされる日々でした。

しかしその出先で頭に浮かんだことや見つけたもの、気になったものなどをリングノートに書き綴るようにしましたので、気が付けば買ったノートにはいろんな情報が私独自の視点で見た事柄で埋まっていました。

また私は日本史の研究をしているので散歩の途中に思いついたことはとりあえず書き付けるようにしていました。

結果としてこのリングノートは貴重なネタ帳になりました。

そのノートからいくつかの論文やまとめ記事が生まれました。

私の体験から言えることは、おそらく私と同じタイプの発達障害を抱えている人は、いろんな考えが次々浮かんでは消えていったり、物事を独特の視点で見つめてしまうという方が多いと思います。

それを人と違うからと悲観するのではなく、自分にしかない視点だと捉え直して記録していくことは大事なことだと思います。

ただ思い浮かんだらできるだけ早く形に残しておかないといけないと思います。

時間を置くとほかのことに気を取られて考えは霧散してしまいます。

ただこれはたまたま私がそのアイデアを活用できるつてを持っていたからこそのことかもしれません。

正直まだ私も迷いながら生活しています。

しかし私と同様、自分の考えを発露できる場を持っている方にはぜひ試していただきたいと思います。

著者紹介:鳥居の上の鳥

・日本史学の修士号・上級宗教文化士・元ソーシャルワーカー

退職後の療養機関を活かし歴史論文を執筆。

指導教授の教えを元に、研究対象の神社仏閣へ足を運ぶことを心掛けメモ帳を持ち歩き、気がついたことを殴り書きにして、あとでまとめを行う。

代表論文テーマは「鎌倉時代に形成された神道について」

関西の精神保健福祉士
関西の精神保健福祉士

職場では活かせなかった才能が、環境を変えることで発揮され歴史論文に昇華された事を素晴らしく思います。社会に所属したままでは埋もれてしまっていた才能を持たれておられたのですね。

鳥居の上の鳥
鳥居の上の鳥

わたしの経験からADHD、ASDは民俗学や考古学のような出歩いたり、図書館にこもったりを交互に繰り返す学問が相性がいいように思います。どっちかだけだと飽きて嫌になってくるからです。

関西の精神保健福祉士
関西の精神保健福祉士

私も療養をしていた期間はその様に過ごしていました。図書館に通いつめ、発達障害と精神保健福祉についての文献を読み漁りつつ、障害福祉サービスをフィールドワークしていましたね。その期間があって今があります。ただ私はその期間に論文を書くなど出来ませんでした。その様な素晴らしい能力が最初の環境のままでは活かせなかったのは勿体ない話です。

鳥居の上の鳥
鳥居の上の鳥

私の場合は、事務職はマルチタスクを求められることが多く、相性が悪かったですね。現在は適性テストを受けるなど自分の適職を探しています。

関西の精神保健福祉士
関西の精神保健福祉士

ご自身のストレングスを発揮して、自分らしく働ける環境が見つけられる事を応援致します。また、執筆の方ではぜひ才能を活かして今後ともよろしくお願い致します。


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