今回は元児童養護施設の支援員のA-san.21さんからご寄稿頂きました。
「変わったやつ」の自覚から「仕事が出来ないやつ」の汚名返上
発達障害に気づけないまま大人になった場合の苦しみは如何ばかりでしょうか?
私自身が社会に巣立ち、様々な業務経験を積んでいく中で、遂行が難しい場面や失敗、信頼を損なう場面も多く経験してきました。
その経験の中で同じように苦しむ方々に、何かしらの形でお役に立て、お悩みを少しでも解決できるヒントになれるよう書かせていただきます。
「変わったやつ」から、「仕事ができないやつ」へ
私が学齢期であった時代は、発達障害という言葉自体があまり浸透しておらず、その中で私はクラス内の「変わったやつ」といった印象で見られておりました。
社会人になってからは「変わったやつ」から「仕事ができないやつ」へと変わっていきました。
どのように仕事ができないかを挙げると、とにかくミス多かったこと、同僚とコミュニケーションが取れないことが浮かび上がりました。
ミスが多かったことについては
・依頼されていた業務のやり忘れ
・失念から聞かれたことについて適切に答えることができなかったこと
などがあげられます。
同僚とのコミュニケーションについては
・適切にコミュニケーションをとれず業務遂行にズレがでる。
・結果として同僚に迷惑をかけてしまう。
・不快な気持ちにさせてしまう
など、目を覆いたくなるようなことが多くありました。
その社会人生活の中でも不幸中の幸いであったのが、私が就いた職種が発達障害診断が下りている子どもたちと共に過ごす児童養護施設 であったことでした。
特性を持つこども達と関わる中で、私自身も学齢期に「変わったやつ」と言われていた理由が納得出来て自身の障害受容が行えていきました。
そして、発達障害診断検査に行くと「自閉症スペクトラムのグレーゾーン」でした。
いつまでも「仕事ができないやつ」ではいられない!発達障害者の業務改善
しかし、自分の特性を理解したからと言っていつまでも「仕事ができないやつ」と言われないように決意をしました。
そして一人の大人として業務遂行ができるように様々な試行錯誤を行いました。
ミスに関しては
まずメモを細かく、逐一付箋などに書き、自分のノートなどに張るようにしました。
張る作業ができてきたら、ノートのページごとに
・「優先順位の高いのもの」
・「外部とのやり取りが必要なもの」
・「自分一人で行えるもの」
などのように付箋を棲み分けしていくことを意識して行いました。
同僚とのコミュニケーションについては
ミスを無くす付箋業務に「同僚に確認・必要なやり取り」なども棲み分けしてみることにしました。
・具体的に話す内容などのコミュニケーションの内容を明確にする。
・パニックになっても伝えられる様にまとめておく。
・仕事の進捗を確認する。
などを通じて、仕事を勝手に進めたりすることが徐々に減っていきました。
発達障害診断を受けて、作業、優先度、コミュニケーションの苦手特性を理解したことから、改善に向けての工夫を行っていきました。
そして、これらの対策作業が定着してくと
同僚、上司から
・メモを細かく残す作業を評価され
・コミュニケーション面でも伝えるべき事を伝えられ
・仕事の足並みがそろえられる
など評価が塗り替えられてだんだんと「仕事ができないやつ」という印象を払拭することができました。
特性にあった工夫やアイデアの実践で肩の荷を降ろしてくれる
私は今まで「変わったやつ」「仕事ができないやつ」との印象を持たれ、苦しんできました。
その中で他人に迷惑や不快な思いさせるなどの経験も何度となくありました。
しかしながら、自分に合った少しの工夫やアイデアを見つけ実践することによって、人の役に立てるようになり、仕事へのプレッシャーも肩の荷が降りる様に軽減されました。
私自身のこういった経験が他の方の力となり、新しいアイデアの発見や、社会での生き方の方法が出来上がることを期待しています。
著者紹介: A-san.21
元児童養護施設支援員。
特性を持つ子どもたちと関る中で、自分自身を知り特性受容に到られました。
世代ごとによる発達障害への認識の違いを感じ、今現在発達障害と診断されている子たちと関りを持つことで、新たな視点を見つけることを試行錯誤されています。
世代ごとの発達障害認識の違い、早期診断と支援の重要性
ブログ主の関西の精神保健福祉士です。
近年発達障害への理解が広がる中で低年齢に到るほど、発達障害はナチュラルでライトなものなっていると感じます。面倒なので自分のツイートを引用します。
同世代の中で生きているだけでは気づきにくい事ですが、、、
2005年の発達障害者支援法の施行から、じわりじわりと発達障害への認知と理解は進んでいます。
障害児福祉、教育現場、児童、若年層と関わっていると、発達障害への理解と受容は低年齢になるほどオープンにフランクに広がって来ていると感じます。
逆に言えば発達障害特性が、明らかになる前の時代に育ってきた、私達ミドルエイジ世代以上は、障害特性を知る術もなく、社会との軋轢の中で別の傷を負っています。
それが、二次障害というもので「変わったやつ」と言われる中で自信を失い、うつや依存症など別の問題を引き起こします。
私は児童、若年、中高年、高齢者と様々な世代の発達障害者、精神障害者の支援に携わって来た経験からも早期発見、早期治療の重要さを実感します。
しかし、発達障害特性が明らかになりつつある現在でも、いざとなると適切な医療機関、福祉サービスを探せずに繋がれない方々がおられます。
5年前は私自身もその一人でした。自分で情報を集めて制度やサービスを勉強し、時間をかけて行動をする事でしか、自分が必要とする医療、福祉サービスに繋がることが出来ませんでした。
そこに制度のすき間や切れ目を感じます。
そして、その経験を元に、支援の切れ目を繋ぐ相談支援を行いたいと感じました。
当事者・専門職の視点から、全国の医療・福祉機関へと、早期発見・早期支援に結び付く相談支援サービスをはじめました。
漠然とした生きづらさを整理し、抱えている問題の根本を読み取り、適切な医療、福祉、社会制度に繋ぎます。詳細は以下をご参照ください。
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