加害者タイプのADHD

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(ADHD:Attention-deficit hyperactivity disorder)

私の勤務していた発達障害児の現場では、ADHD(注意欠陥多動性症候群)傾向の強い子が加害側、ASD(自閉スペクトラム)傾向の強い子が被害側に立つことがあり、スタッフ間での配慮が必要でした。

発達障害の中には、衝動性が強く、些細なことでキレてしまう加害タイプの方もおられます。司馬理恵子Drが「のび太・ジャイアン症候群」と名付けたうちの、ジャイアン型ADHDタイプの方です。

いじめられる側、いじめる側と対極に見えて、実は同じ発達障害という根を持っている事があるのです。

ジャイアンタイプは、物事の考え方が異常に表面的で、合理的な話が通じにくく、相手の落ち度を見つけては激しく責めて、権利を主張をすることがあります。

それだけに自分の過ちを認められず、発達障害である事も自覚できない方が多くおられます。そして、モラルハラスメント・パワーハラスメントの加害者、虐待・DVの加害者、クレーマー、モンスターペアレントなどになる方も少なくありません。

 ささいなことで爆発する感情 

ある程度の信頼関係が出来ていると思っていた児童であっても、思わぬ衝動の爆発を突然受け、激しい暴言等を受けて面食らうことも多々ありました。

その爆発が人を傷つけたり、物を壊したりと表出すると「強度行動障害」と分類され行政としても専門研修を位置付けています。私も都道府県が主催する研修を受けて、加害型タイプの理解と対応の仕組みづくりを知りました。

「強度行動障害」対応についての話は別の機会にして、今回は「加害型ADHD」についてを説明します。

 前頭葉の機能不全による衝動コントール困難 

発達障害は脳の前頭葉の発達不全が原因の一つと言われています。この部分は、情緒、衝動などをコントロールする役割を担っています。

ADHD型の発達障害者は、通常は2~3歳頃に身につける「衝動コントロール」が失調しており、大きくなっても些細なことで「泣き」「笑い」「怒り」「わめき」「すねる」などの激しさをもっています。

その特性を理解した上で納得のできる「折り合い」を伝えていくことは至難のわざです。そして周囲が節度を伝えられずに行動を容認し続けてしまうと「まったく我慢しない」事が自然となります。すべてが自分の思い通りになるという誇大で自己中心的な認知と思考を特徴としています。

しかし、実際は何でも思い通りになる事はなく、環境との折り合いの中で様々なタイプに分類されていきます。

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暴君型

大人になってもそのまま「我慢しない」衝動のままに生きるタイプです。甘やかされた環境で「激しく泣いたり大きな声で反発すると大人が折れて自分の要求が通る」ことを学習してしまい、大人になっても強引にゴネたり暴力や権力などで強制して周りを全て思い通りにしようとします。

「状況を察知してその場で相手を威圧して言うとおりにさせる」ことだけに集中し、極端に場当たり的な思考、継続的合理的な思考が出来ないという特徴があります。周囲の他者は「自分の要求を満たすための対象」でしかない場合があります。

現場ではこのタイプの児童とは力関係と道理と愛着度のバランスに気を遣って対応をしていました。正々堂々とスポーツを勝負をしてこちらが勝った時に、ルール違反があったと主張をされて土下座を要求して来たこともありました。

私は断固として突っぱねました。そのポイントで道理を曲げてしまうと不合理な力関係が出来てしまい、問題行動を修正する支援関係は築けなくなるからです。恫喝、暴言、暴力とあらゆる手段で言いなりにさせようとして来ましたが、身体を張って道理を伝えていきました。

中心志向型

「競争で一番になる」「みんなから注目される」などの表面的な成果を重視して、言語的にほめることが多い環境では「ほめられるから我慢する」という衝動コントロールのスタイルを身に着けます。「ほめられて調子に乗る」というパターンを大人になるまで生きる原動力とするスタイルです。

幼少期からほめられる為に努力をして、結果社会的にも高い地位につくことや、重要な功績を挙げることも多いです。ただし自分自身に異常に高い基準を求め、その基準に達しないと自分を責め続ける人生となります。

合理的強迫型

幼少期に親が毅然としてわがままな要求を通さず、是々非々で例外を設けない徹底的に言語的な「原理」を根拠に対応した場合、異常に合理的に生育します。「理由があるから我慢する」事を哲学として、結果「理屈っぽく、自分にも人にも異常に厳しい」というスタイルになります。自分が我慢しているのに他者が我慢しないことを許し難く、弱音をはく人を以上に責める事があります。

言語的・理論的な相互理解や話し合いは可能で、周囲の他者に対する社会的な害は最も少ないタイプですが、逆に理屈から自虐的に自身をおいつめてしまうことがあります。

ボーダー(境界)型

養育者が溺愛のあまりに、言語的な説明を省いて、養育者に愛されれば思い通りになるように刷り込ませて育てた場合、「衝動は養育者にコントロール」してもらい「その養育者をどうコントロールするか?」だけの能力を発達させて成長します。

非言語的な表情や仕草で周囲をコントロールする技術を身に着けます。女性の場合は、同じタイプの男性をコントロールすることで、自分の欲求や衝動を達成します。

情緒障害型

こちらは、被害タイプになりやすいです。

養育者が、非言語的に支配し「目で躾ける」といった言語的な説明が欠如していた場合、上記と同様に「人に衝動をコントロールしてもらう」というパターンになります。

ボーダー型と異なり親からの非言語的なメッセージは主に否定的で、「叱られないために」ということだけを
考えて成長します。このタイプは多くは情緒障害(離人症様)として成長し、「異常にドライ」で、結果的には「冷たい自分の利益だけしか考えない人」というスタイルとなります。

表面的な気配りは、生き抜く知恵として体得しているため、表面上の愛想は良いことも多いですが、継続的に近くで接すると、極端に場当たり的でその場の対応だけに終始する行動に長く付き合う方は疲弊することになります。「情緒的に責められると思考がフリーズして無反応状態になる」こともあり、叱られる程に感情を逆なでしてしまうケースもあります。

 周囲の理解と対応で変化していく可能性 

読んでみて自分や周りに、あてはまるとこありましたか?

私は多々ありました。

ただくれぐれも、これらの特徴は固定的でどうしようもないことではありません。周囲の理解と対応によって、改善や助長をしていくのです。

リンク先:発達障害者である専門職のインディペンデンス

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