ASD(自閉症スペクトラム症)

(ASD:Autistic Spectrum Disorders)

自閉症についての診断名はたくさんありますね。


・アスペルガー症候群

・広汎性発達障害
・高機能自閉症
・非定型自閉症
・カナー症候群
・小児自閉症

実はみんなひっくるめて一つの名前にひっくるめられるんです。

それが、ASD(自閉症スペクトラム症)です。

この名称の違いは診断名を定義する機関が、WHO(世界保健機構)とアメリカの精神医学会とでそれぞれに定義づけられているからです。

数年ごとで改定をされるのですが、米国の方が2013年に改訂をされて、広がり過ぎた自閉症圏の診断名をASD(自閉症スペクトラム症)に統一しました。

スペクトラムとは「連続体」を意味しており、限りなく定型発達者との境界層までを広く含みます。

 

スポンサー

ASDの3つの定義

  • 社会性の質的な障害
  • コミュニケーションの質的な障害
  • 相続力とこだわりの障害

その他の定義として

感覚の敏感・鈍麻・こだわりも挙げられています。

知能指数値、言語能力値、特性等の違いはあっても上記のような特徴があります。

社会性の質的な障害

社会性とは一方通行ではなく、コミュニケーションを投げて⇒返され⇒受けて⇒投げ返すことを表し、質的な部分とは単なる情報の報告でなく、感情面を含めた状況理解や交流です。それらを円滑に行えない障害です。

また、共感力の欠如、場の空気がよめない、つきあい方が表面的で一方通行といった特性があります。

コミュニケーションの質的な障害

言葉が話せてもコミュニケーションの道具として、感情や状況を伝えられるないことや、言葉の意味を十分に理解できないことがあります。

言葉の外に含まれるユーモア、皮肉、非言語的なメッセージをうけとれずに言葉通りに捉えることがあります。

想像力とこだわりの障害

想像力とは物語をつくる様なアーティスティックな能力ではなく、日常生活で目に見えない物事を理解する力です。

相手の立場・気持ちを理解する、先々のスケジュールを見通す、体験していないことを予見することなどにも想像力を要します。

逆にそれらの想像力の乏しさから、人の気持ちを推し量れない言動に表れたり、新しい行動をさけて、パターン化された行動、限定された興味・関心などに表れます。

その他 特性

その他、感覚刺激への特異性の「過敏さ」「鈍感さ」という特性もあります。

関連記事:感覚過敏・感覚鈍麻とは

幼児期に知能の発達の遅れがないため、障害があることが分かりにくいですが、成長とともに不器用さや人間関係上での違和感が表れてくることがあります。

説明は一例をざっくり書いてあるだけなので、診断基準と捉えないで下さいね。ほんとはもっと詳細な項目があります。

 長所・つよみ・ストレングス面 

特性は悪いとこだけではありません。

 

反復を続けることは真似のできない偉業や才能の開花に繋がります。

 

ASDを持つ人のストレングス面


超合理的思考


具体的なことを理解する力

パターンを理解するのが得意

同じ手順を繰り返し取り組める

興味分野に対するこだわりから

一分野で特価した知識・能力を持つ


嘘がつけず、裏表がなく純粋。

 

臨床診断名と実際の特性のズレ 

 

援の現場では自閉症(自閉症スペクトラム)の方々にわざわざ「アスペルガー症候群」「自閉症」「ASD」等と分類し直し、診断名にこだわる支援者もいました

 

しかし、臨床診断される病名と実際の特性が違っていることは少なくありません。

 

一つは診断基準の違いです。前述したように、

アメリカの診断(DSN-5)と、

世界保健機構の診断基準(ICD-10)で

診断分類に違いがあります。

 

アメリカの(DSN-5)の方が最新の分類となっているのですが、行政で採用している基準は世界保健機構の(ICD-10)となっています。

 

その為に行政に提出する書類、たとえば「自立支援医療」「障害年金」などの診断書の病名には、ICD-10病名で記載がされてます。

 

主治医からはASDと聞いていいたけど、診断書では、広汎性発達障害などと記載されているなどのズレがあります。

 

また、細かな行動特性は数分の診察場面だけで正確に捉えきれないこともあります。

 

私の場合、自己診断ではADHD:ASD:LD=4:4:2ぐらいと思っています。しかし、診察場面でADHD部分のエピソードしか語らなければ診断名も「ADHD」だけとなってしまうのです。

 

その様な理由から発達障害者支援の現場では、医療機関の診断名だけではなく「その人」を見て特性を理解することが重要と感じます。

 

行動特性は「家庭」「学校」「障害支援施設」など、日常を過ごす場面の方がよく見ることが出来ます

 

逆に「診断名と特性のズレ」があるのなら、日常で表れる特徴を主治医に伝えてトータルな見立ての参考にして貰うことが重要です。

障害者と健常者とのスペクトラム

 

しかし、これらの特性を見て誰でもあてはまる所があると思いませんか?

 

私達は神や仏のような完璧な存在はなく、それぞれ欠点や障害を持っている人間です。

 

大きく見ると人はみな自閉症スペクトラムの「連続帯」に含まれる要素はあると思います。

 

ただ、その特性の大小で社会で生きるハードルが変わってきます。

 

そのハードルが高く支援が必要な人を障害者と呼びます。しかし、その差は健常者ときっちり線引き出来るものではないと思います。

 

発達障害の知識や分類は、、、

特性の違いがある人を理解する手がかりであり、

同時にすべての人を理解する手がかりになると私は思っています。

 

だから細かい診断名よりも、スペクトラム「連続帯」と呼んでほしいのです。

 

人はみんな、特性の濃淡を持つだけの連続帯であると、、、。

 

関連記事:LD(学習障害)とは?

関連記事 :なにこの技術「WH-1000XM3」音の世界を制御するヘッドホン

関連記事:大人の発達障害を理解する書籍


リンク先:発達障害者である専門職のインディペンス

フォローする

コメント

  1. […] 自閉症スペクトラム(ASD: Autistic Spectrum Disorder) […]

  2. […] ASD(自閉症スペクトラム症) […]

  3. […] 関連記事:ASD(自閉症スペクトラム症) […]

  4. […] ASD(自閉症スペクトラム症) […]

タイトルとURLをコピーしました