ではゴーン氏の後はどうするか「丁度良い仕事のシェア」

前回は「働き方改革」の要点と、時代に対応する働き方をお話ししました。今回は「働き方改革」を進める方法としての「ワークシェアリング」。その担い手としての「障害者雇用」をお伝えします。

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・ワークシェアリング

ワークシェアリングとは仕事の分業です。

 

一人の人が長時間残業をして仕上げていた仕事を、数人の仕事に分業してしまいます。

 

残業対策と共に働き手を増やすことができます。

 

オランダでは、1980年代の不況をワークシェアリングの導入で乗り切り、失業率を5分の1程にまで減らしました。

 

ドイツは、ワークシェアリングの合理的労働モデルが成功している国です。同様に1980年代にワークシェアリングが導入され、フォルクスワーゲン社では賃金を1割カットするかわりに時短労働をつくり、人がやめない環境がつくられていきました。

 

日本でも、トヨタ、マツダなどでワークシェアリングが導入されましたが、導入には2点の困難点がありました。

 

1、分業する人の賃金が低下するので納得が得られにくい

 国内のワークシェアリングは賃下げという性格の色濃いものでした。

ただ「働き方改革」の導入で、残業を減らさないといけないのならば、そこにワークシェアリングを用いての雇用創出の機会はうまれます。

 

2、日本の「週40時間、年間12か月働くキャリアモデル」

少しの仕事だけ手伝って貰いたくても、しっかり雇わないといけなければ、雇用保険料などの社会保険料などの支出から、割に合わなくなってしまいます。

 

同時に、この「週40時間キャリアモデル」が精神障害者の障害者雇用の足かせにもなっていたのです。

 

では、続いて障害者雇用について説明します。

・「障害者雇用」はアメとムチで 

 私が立場を背負っていたら言えない、平たく乱暴な表現をします。

日本の障害者雇用は企業への「アメとムチ」で進められています。

 

その会社で働いている人の人数に応じて、一定割合いの障害者を雇う義務が設けられています。これを法定雇用率といい、現在の割合は2.2%です。

 

簡単に計算すると、220人の社員がいる会社とすると、約5人の障害者を雇用する義務が設けられます。※短時間雇用など考慮せずかなり簡略化して計算しています。

 

クリアできなければ罰金というムチがおりて、クリアできれば報酬というアメが、会社にかかる税金によってかけられる仕組みです。

障害者のカウントは障害者手帳を持っていて「週20時間以上~」働ける人です。長らく身体障害、知的障害の人が主な対象で精神障害者の雇用義務はありませんでした。

 

そこにやっと昨年の2018年の4月に精神障害者の雇用義務化が行われて、私は当事者としても支援者としても、発達障害者が働けるフィールドも広がっていくと期待していました。

  

しかし残念ながら、フタをあけると「障害者雇用率のごまかし」が発覚しました。

 

「やっぱり国や企業がまともに障害者雇用に取り組むわけがないんだ!!」

 

、、、と落胆した人も多いと思います。

 

しかし、私は「発達障害者のつよみを生かす職場環境づくり」は、脈々と様々な企業で努力をされ広がり続けていると感じています。

 

世界的な流れでは、以前にマイクロソフト社をはじめとする世界的企業での発達障害者の活躍をお伝えしました。

・日本でのフィールドは・・・?

日本での障害者雇用開拓は嘘と誤魔かしでしかないのでしょうか?

 

いえ、ちゃんと進んでいることを、私は当事者と支援者の立場で見聞きしてきました。

 

一つは、雇用環境整備士という資格を2018年に先駆けて取得をした際に聞いた話です。

 

その資格は企業の中で障害者雇用の環境を創出する仕事です。

 

実際に企業と赴いて、障害者雇用環境を開拓しておられる講師の経験を聞くと、話題の7割程が発達障害者の特性と優位性についての話だったのに驚きました。

 

その実践を聞く中で様々な企業が発達障害者の能力に注目して、働くフィールドを開発していると聞きました。

 

詳細は、初代ブログでお伝えしています。

リンク先:発達障害者である専門職のブログ

どんな仕事が向いている?立ち止まって考える材料 完結

そして、行政委託相談窓口で私の得意分野は就労支援でした。

 

当事者として仕事探しのサービスを利用してきた経験が非常に大きな引き出しとなったのです。

 

相談から仲介も行って、実際に、働く訓練をする事業所に行く中で、支援員さん達から障害者雇用の広がりを聞かせて貰いました。

 

日本でも、発達障害者、精神障害者を活かす雇用環境は広がっています。

 

では、なぜ障害者雇用のごまかしがあったのか?

私は以下の3点が大きな要因と思います。

1、国としては本気で向き合ってなかった。

民間事業所に障害者雇用を進めろと言いながら、行政が法定雇用数を誤魔化していたんですから、軽く見ていたんでしょう。

これは国会でも当事者団体から散々責められて、公務員での障害者雇用を超ハイピッチで行うことになったので解決していくでしょう。現場での色んな苦労、配慮、特性に直面するとは思いますが、おかげで具体的な課題を共有出来て政策的に進んでいくと思います。

 

2、間に合わなかった。

精神障害者をつい50年前まで自宅に閉じ込めて、つい20年前まで「監獄みたいな精神病院」に放りこんでいたんですよ。

頑張って障害者雇用を開拓している企業があったとしても、雇用環境整備が間に合わなかったのだと思います。

また、詳細は次回語りますが、障害者雇用環境整備は「福祉の課題でなく」「国家経済の仕組みづくりの課題」だと思います。

 

3、日本の「週40時間、年間12か月働くキャリアモデル」

ここが精神障害者雇用、発達障害者雇用の最大の足かせで、合理的配慮も特性を活かすことも台無しにしてしまっているところです。

 

・障害者雇用のフィールドに立つ最低要件は?

「週20時間以上働ける」ことが必要なのです。

 

先ほど説明した企業のアメとムチに関わる「法定雇用率」は、週20時間以上働かないとカウントされないのです。

 

例えば、うつ病になり自宅療養が必要になった方の場合。

 

まずは休養をして、少しづつ外に出て、活動時間を増やし、リワークを重ねていきます。

その方には元々高いスペシャリティがあって、1日2時間程度なら働けて、ワークライフバランスが丁度良かったとします。

その能力だけで十分な実務能力があったとしても、

週20時間をクリアしていないから障害者雇用では働けないのです。

 

例えば、短期集中過集中型の発達障害者の場合。

1日2時間が最高のパフォーマンスで、他の時間は放心状態で休養が必要な特性があったとします。その2時間だけで、他の人が8時間分の仕事を仕上げられたとしても、

週20時間をクリアしていないから障害者雇用で働けないのです。

 

その要因が日本の労働スタイルにあったとするならば、働き方は改革しないといけませんね。

 

さて、今回もニュースソースを掘り下げていくと長くなってしまいました。問題提起のみで一旦持ち越しです。

 

次回でいい加減、展望を伝えたいと思います。引っ張るだけでなくてちゃんとネタはあるんですよ。

 

それらの問題を一気に解決する労働スタイルが、東京大学の先端科学技術研究センターで進められているのです。

 

このプロジェクトが実用化されると「働き方改革」で余剰が出た仕事をちょうどよい「障害者雇用」のパッケージとして「ワークシェアリング」出来るのです。

 

発達障害者のつよみを活かした働き方、精神障害者が働き続けやすい働き方の展望をお伝えしたいと思います。

 


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