・20世紀末の働き方から
カルロス・ゴーン氏の批判から始まった、私の問題提起をこの記事でやっと完結させたいと思います。
私が言いたかったことをざっくりまとめると、、、
1997年 労働法性の改革・発達障害者の命綱「終身雇用制度解体」「リストラ合法化」 →
1999年 カルロス・ゴーン氏の大リストラ政策 →
年間自殺者が3万人を超える →
2000年 メンタルヘルス政策の本格化 →
2010年 年間自殺者数が減少 →
2013年 精神疾患が国民病に認定 →
2019年 働き方改革
という流れの中で、精神保健福祉政策の進展から「働き方改革」が向かう方向性を考えてみました。
そして、これからの「働き方」の意識としして
〇 労働者としては、一つの企業にとらわれず自由な収益スタイルを追求する生き方へと転換していくこと。
〇 社会構造としては、長時間労働スタイルをワークシェアリングによって解体していくこと。
〇 ワークシェアリングの担い手として障害者雇用を活用すること。
を述べたかったのです。
それを実現する足かせが「週20時間」以上働かないといけない日本のワークモデルにありました。
そして打開する道として、東京大学先端科学技術研究センターで施行されている、障害者の「超短時間雇用」の実現で、「働き方改革」と「障害者雇用」の二つの問題が解決出来る可能性を前回お伝えしていきました。
さて今回は、国家経済の担い手として真の「障害者雇用」をつくるにはどの様な方策が必要かを「障害者雇用」の現状の担い手を説明してお伝えします。
そして、日本の労働スタイルが、ゴーン氏の時代から世界的な福祉の進展を経てどう変わっていくか?を述べて、帰結したいと思います。
・障害者雇用環境開拓は誰が担っている?どうやったらうまくいく?
「障害者雇用環境づくり」は福祉の課題ではなく国家経済の課題です。
なぜなら、そこで求められているのは、障害者の福祉的受け皿をつくるのではなく、最高にパフォーマンスを発揮出来る労働形態を「仕事をシェアする仕組み」として、全企業・国家レベル行うことだからです。
その仕組みづくりは、年収500万円以上の障害者雇用という形で一部では成功しています。しかし、全企業には及んではいません。
その理由は、障害者雇用開拓という重要な仕事を、国はある「障害福祉サービス事業」に任せてしまっているからです。
それが「就労移行支援事業所」という所です。
「就労移行支援事業所」の役割の主は職業訓練をして障害者雇用に繋げる仕事です。
ところが、障害者雇用をしたこともない企業に出向いて営業をして障害者雇用場環境を開拓する仕事も担っているのです。
そして「就労移行支援事業所」は大きく見ると二つに類型があり、
職場雇用環境開拓に成功している事業所と、成功していない事業所の明暗は、はっきりと分かれつつあります。
その差は福祉現場の色から脱却して、企業ノウハウを取り入れているか?によります。
・「福祉型」と「福祉+企業ミックス型」就労支援モデル
「就労移行支援事業所」は大きく見ると「福祉作業所」等から変化した「福祉就労型」と企業ノウハウのキャリア支援を活用した「企業キャリア支援型」に分類されると、私は複数の就労移行支援事業所を検分して感じました。
「福祉就労型」
2006年に「障害者自立支援法(現・総合支援法)」が出来るまでの、障害者雇用の場所としては「福祉作業所」という場所が主でした。
障害者家族の会などから地域の居場所づくりとして発足した事業所です。「行政」の保健師や家族のアクションによって全国で開拓されていった「作業所」は、生産性を追求して賃金を保障するよりも「居場所」としての性格がつよいものでした。
その成り立ちから、非常に良い点としては家族の様な親身さがあり、アットホームで通いやすい点にあります。
しかし、スタッフの多くが福祉専門職か、家族会の出身の方で、多くが一般企業の就労経験のないスタッフで構成されています。
その為に一般企業とのコネクションに乏しく、スタッフ自体が一般企業の風土に不慣れで、職場環境の開拓や環境整備にノウハウを持っていないことがあるのです。
「企業キャリア支援型」
一方「企業キャリア支援型」は「障害者自立支援法(現・総合支援法)」の成立以後に、民間企業から参入をしてきた事業が多くなっています。「障害者雇用」のフィールドを施設内ではなく、一般企業内に開拓するマインドとノウハウを持っています。
従来の福祉専門職と、企業のキャリア専門支援職がうまくマッチング出来ている事業所は、成功をおさめて次々と全国展開をしていっています。
都心のオフィスビルなどで一般企業のテナントと同じように並んでいる所が多く、利用者もスーツ着用でサラリーマン同様に通います。
その企業的な通勤スタイルやオフィス環境がハードルにはなりますが、プレッシャーある環境づくりは一般就労に向けた慣らしという目的もあります。
そして、構成する福祉スタッフの環境配慮と、企業キャリアスタッフのノウハウで、一般企業で働くために必要な職務能力や、コミュニケーションスキルが学べるようになっています。
「福祉就労型」でも環境開拓や営業を努力されている事業所は多くあります。しかし、福祉専門職のノウハウの中には「生産性を確保した業務改善」などのスキルはなくつよみを活かした労働環境づくりにまで到るところは多くはありません。
この点から見ても「障害者雇用」の問題は「福祉の課題」だけではなく、企業経営や「国家経済の課題」であると思います。
現在、福祉+企業ノウハウをミックスさせている事業所がリードをして、福祉政策で保護されていた障害者を、一生産者として養成し、働ける環境の開拓をしていっています。ゼネラルパートナーズさんをはじめとして、先駆的な「就労移行支援事業所」によって、つよみを活かした障害者雇用環境は広がり続けています。
しかしまだ、都市部を中心に点在していて地方には及んではいません。地方での障害者雇用は掃除や、簡易作業が多く、残念ながら障害者雇用の助成金による「アメとムチ」目的に、形式的なスタイルで安く障害者を買い叩く現場も存在しています。
リンク先:発達障害者である専門職インディペンデンス
・アメとムチに頼らない障害者雇用環境づくりの機運
障害者雇用環境の偏在には、これまで障害者雇用政策に正面から向き合わなかった国の姿勢も、近年の障害者雇用率の誤魔化しから明らかになりました。
障害者雇用対策を企業に命じながら、自分の会社(役所、行政機関)で障害者雇用数を誤魔化して、法律通りに雇っている建前をとっていたのですからね。
国として助成金の抜け道と帳尻合わせのモデルを見せていた様なものでした。
さぁ、それも逃げ場がなくなりました。
この4月には国家公務員、行政機関で一気に障害者雇用が進み、本気で向き合わざるを得なくなりました。
実際に雇い入れる中で、障害者が働く為に何が必要なのか?、特性を活かすにはどうしたらいいか?に向き合う機会になると思います。
その徒手空拳の中から、国として「障害者雇用環境づくり」に必要なノウハウを、自分の会社(役所・行政機関)で具体的に培う機会になる事が重要です。
そのノウハウこそが、企業に対して助成金という「アメとムチ」の障害者雇用対策ではなく具体的な職場環境開拓を指導する材料となるからです。
これまで、先駆的な「就労移行支援事業所」が担っていた環境開拓を、国が舵をとり国家的なワークシェアリングとして進められれば、真の障害者雇用対策が出来るのではないでしょうか?
・やっと帰結!ゴーン氏からダイバーシティとインクルージョンへ
1997年に行われた構造改革、その流れで断行されたカルロス・ゴーン氏の大リストラ政策は、企業の都合で多くの人々を切り捨てる内容でした。
それから20年が経ち労働者のメンタルヘルス政策が進展して再び「はたらき方改革」という労働法の改訂を迎えます。
まだ実態のわからない「働き方改革」では、再び労働者の切り捨てにならないかなどの不安も大きいと思います。
しかし私は、同じ政権政党の労働法改訂だとしても20世紀末の構造改革の二の舞になるとは思っていません。
なぜなら、国際的な福祉の流れの進展は「思想・信条」や「政党の性質」などに関わりなく、より良い暮らしを推進するべき強制力を持っているからです。
いま世界はダイバーシティ(多様性)を認めてインクルージョン(社会的包摂)を基調に進歩していています。
世界の先進国とつきあっていく上では、世界的な福祉の流れに恥じない国策が求められます。
宇都宮病院事件を機に世界的な世論から、「地獄の監獄」であった精神病院は、病院の絶対的権力支配が解体して収容患者を開放しました。そして、すべての人々のメンタルヘルスの拠点に変わっていこうとしています。
メンタルヘルス政策の進展を経た今度の労働法改革では、会社内の絶対的権力支配を解体して「社畜」と呼ばれる労働環境から労働者を開放する契機となっていくものと期待します。
その国際的な福祉の視点で政策を進めていけば、これから行われる「働き方改革」を起点に、
サービス残業や、労働者の休暇の犠牲で成り立ってしまっていた仕事を改め、
長時間労働に代わる仕事の担い手として、「短時間にパッケージされた障害者雇用」で、
国家レベルでワークシェアリングを進めて、
障害者のつよみを活かした「真の障害者雇用対策」を進めること。
その方向性が労働者切り捨てのカルロス・ゴーン氏の時代から、
「労働と福祉」の国家的課題を複数解決して、
国際的福祉の潮流にも恥じない国へと、変わっていく道筋として語り、帰結としたいと思います。
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